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「昨日は母さんの言う通り出前をとって食べたんだよ。朝は明彦が朝食を作ってくれた」
母は目を細めて笑顔を作った。明彦は言う。
「約束したからね。そうそう、お母さん、冷蔵庫の中にお茶を補充しておいたほうがいいだろう。売店で買って来るよ」
明彦はマグカップを持って立ち上がった。凛香は思った通り病室から出た。二人でエレベーターに向かう。凛香がふらついて倒れた。顔が真っ青だ。
「木村さん、大丈夫? 病室へ戻ったほうが……。看護師さんを呼んでくるよ」
「あ、呼ばなくていい。ただの貧血だから」
凛香は立ち上がって呼吸を整えている。明彦は凛香の肘を持って体を支えてあげた。
「もう大丈夫。談話室に行きましょう」
本当だろうか。貧血が酷いのではないだろうか。でも看護師さんは呼ばなくていいという。明彦は凛香を支えたまま談話室に行った。
「今朝は東の窓を開けてくれたのね。念を送ると同時に疫病神の正体が見れた。かなり強力ね」
あのお爺さんが強力なのか。でも凛香に退治してもらわないと困る。
「僕、昨日の夜に疫病神に会いました。出て行かないと言っていました」
凛香は顔をしかめた。明彦は心配になる。
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