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7.
「なぁ、この卵もらってもいいか?」
「いいけど、もしかして食べるの?」
「いや、資料として取っておこうと思ってな」
「資料って、本当何するつもり⋯⋯?」
「このまま原因が分からないままじゃ、嫌だろ? ただの学生ができることなんて限られているけどさ、色々調べてみるわ」
持ったままだった卵を指先で弄びながら言う黄丹に、目を見開いた。
高校生の頃、なかなか解けずにいた課題を一緒になって解こうとしてくれたことを思い出す。
結局分からなくて、他の人に聞いたのだが、それでも一緒にしてくれたことが嬉しくて、また好きという形が心のビンに貯まっていく瞬間だった。
「⋯⋯玄一」
「ん?」
卵からこちらに向けた黄丹に、藤田はぱっと笑った。
「ありがと」
また産んだら言えよ、と言った黄丹は、それから隙間時間に何かと調べている姿を見かけることが多くなった。
そんな黄丹に触発されて、というよりも、自分の体のことではないのに、あんなにも一生懸命調べてくれているのが申し訳なく感じたのもあり、藤田も調べることにした。
まずは、黄丹が昔飼っていた亀の話から、亀の無精卵のことについて調べた。
「⋯⋯亀は、卵を産む個体もいますが、産まない個体もいます⋯⋯」
黄丹がこないだ話してくれた、排卵のことが書かれているサイトをタップしてみると、そのようなことも書かれている文を見つけた。
無精卵を産まないと言っても、将来繁殖できないわけではないというのも見つけ、へーと納得して、スクロールしていた。
卵詰まりの話も出てきて、こないだの恐ろしさを思い出してしまい、現実から逸らそうと、そのサイトを閉じた。
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