第一章

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 僕の恥ずかしい失敗、これで無かったことにできたかな?  合法的に常に先輩の隣にいられる現状が幸福すぎて、うっかりいつもの癖で先輩の隣に座ろうとしてしまった。既に、少年と先輩がいた後部座席に強引に割り込んで先輩を中央席に追いやる形で。  狭いんだけど、としつこくぼやく想い人を無視しつつ、僕はとっても幸せだ。 「到着するまで、僕は考え事に集中するので、話しかけないでくださいね」  こんな風に建先輩と身体の一部が触れ合う状態の時、高確率で顔が熱くなってしまうから、いつもこう言って、そっぽを向くのだ。  ドキドキの波が高すぎて、口が勝手に『好き』って言ってしまわないための自衛だ。自衛、大事。とっても大事。  あと、考え事するのも大事。そっぽを向く口実じゃない。  先輩とのコンビで、考えるのは僕の担当だ。情報を精査して思案。あらゆる可能性を一つ一つ潰して真相究明し、成果に繋げる。仕事は完璧に遂行するんだ。  必ず、実績を上げる。誰からも文句をつけられないくらい、源と藤原は優秀なのだと認めさせるため。  建先輩と僕が、ずっとバディを組んでいられるように……。
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