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だから、歩くんだ。桜の様に華やかに、美しく可憐に。
その何倍、痛みを堪えて。君にもわかる時がくる。また再び歩ける、、そんな日が。
雨が降ってかさもささず歩く辛さが、わかるのか?
「わかるわ」「貴方だけじゃないね!」
「何でわからない」「見たらわかるだろ」
不毛な会話が、繰り返し繰り返す涙も流さずに、。
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愕然とした。足が痺れてベッドから動けない、いや首を動かすのがやっとだ。
何が起きたのかわからない助けを呼ぼう、とっさに、そう思ったが声が出ない。
出来る事は天井をただ見つめるだけだ。大抵の苦しみを味わってきた、、、つもりだった、だがこれは普通じゃない。
学校に行く娘が異常に気がついてくれた。
残酷な程性格が僕に似ている、だからこそ助かった。
水を運んでくれ、パンをもってきてくれた。
自慢の娘、僕の宝物。
いいだろう、僕に容姿が似たおかげで「橋本環奈」ソックリなんだから。キミの事は最愛のパパも愛してたね。
そう、亡くなる前もキミに一目会いたいと、、、、、、
それは、出来なかったね。
コロナがあったからさ、運命は残酷。
きみを会わせたかった、多分あなたに会うのが最後の希だったんだ。
僕にはわかるよ、だって同じ位君を愛してるから。
僕は、家族が居なくなった部屋で、まず激痛の治療を始めた。それはワザと痛い部分に親指で、指圧をかける事だ。「ギャー」声がでた。
これは、酷い。痛みで5分くらい気を失った、まあ家族がいなかったのが幸いだ。
こんな声は聞かせられない。
もっとも、1週間、この化け物の様な声を聞かせたのだが、、ごめん。
だけど僕はそんな事、考えられなかった。
パンを食べるのが、やっと。水は顔をよこに向けて水道から水分を、補給するサッカー部みたく飲んでたから、、、、
色々考えたよ。今までの事を。
「僕はよくやった」
「だから、もう動かなくていい」「楽になっていい」
「お前はまだ無理したいのか?」「死にたいのか?」
本当に聞こえたんだ。
左からくる声、右から囁く声が。
おそらく本心というヤツだろう。
実際ボロボロになっていたから、家族が嫌になるのも無理はない。限界まで仕事をし倒れる、、、、
その繰り返し。こんな奴、自分でも嫌になるし、理解不能だね。
そんな日が1週間すぎ、やっと自宅の階段を降りる事ができたんだ。もっとも階段に30分かかったけど。
もうダメだ、そう思ったさ。
閉鎖病棟から出てやっと自分が働けそうな場所を見つけたんだ。なのに今度は身体の自由を奪われた。
数日が経ち、妻が、整形外科に連れて行ってくれた。
「ありがとう」でも結果は予想通りだった。
「見た事ない」「治験レベル」
「治療のしようがない」
医師が皆、口を揃えていったからね。
わかってたさ、、、、この人達が大した事ないのは。
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僕の、たった1人のリハビリが始まった。
朝まず風呂に命がけで入った。
大袈裟じゃない、風呂の中で足の痛みがひどくなり、何度も溺れそうになったから。
でも、仕方ない。無理しなければ、一生寝たきり。
それは、また僕の人生に負けの黒星をつけるから。
これ以上、絶対に負けたくなかった。自分を責めたくなかった。だから、決意したんだ。
「絶対に自分で直す」
何故か自信があった。
それは、何処から湧いてくる自信かはわからなかった。
でも、確かに大丈夫だと、そう感じた。
最低最悪の経験だろう。他の誰も通らない道だから。
だったら、コレに耐えて治したら、もう文句いや意見さえ言える人はいないから、、、、。
とにかく辛かったよ。
初めは10mがやっと、泣きながらね。
次は20m、30m、そう少しずつ距離を伸ばした。
「外に出ないで」「無理しないで」そうみんな言ってくれた。でも例え1人になっても、「寝たきり」は嫌だった、、、。
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いったい、何回この道を歩いたんだろう。
芝生は、僕が歩いた足跡がついてついている。
朝の散歩には、カラスが天敵。何度も攻撃された。
だけど今じゃ挨拶する仲。
スズメはいつでも歓迎してくれる。
「動物達のビスケット」をポケットに入れ散歩し
時々、エサをあげた。
「ピイピイ」「チュンチュン」
幸せを感じた。
動物達も必死に生きている、いや人間より遥かに、その事に気がついた。
セミの様に、じっとエネルギーを蓄え、地上に出たら必死に最愛のパートナーを、探してなく。そうありたい。
そうなりたい、、、、、、、、、、
僕は、今では後ろ向きに歩く事も、ダンスさえ出来る。
医学程度では説明できないよね。
泣きながら、ただ泣きながら歩いたから。もちろん、いつも痺れてるよ。
ただ、桜を追いかけて。
🌸がなかったら⭐️を追いかけて、🌈のトンネルをくぐり、雨に打たれても、嵐にあっても負けなかった。
両足が棒になり道路に倒れても生きている、それが僕。
貴方の悲しみ、仲間の悲しみ、苦しみを背負って羽にして僕は今日も歩き続ける。
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