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時間
小松大介は野村祐樹に言った。
「野村様そろそろ予約時間が名残惜しいですが、終わってしまいます。最後に何かカクテル注文致しますか?」
野村はまた自宅で書いてきたメモを小松に見せた。
「最後にボーイさんが作ったカクテルを飲みたいです。僕をイメージして作ってきてくれませんか?」
野村は「えっ?僕のカクテルで宜しいんですか?カクテルでしたら黒川さんの方が美味しいものを作る事ができますが?」
野村はまた自宅で書いてきたらしいメモを見せた。「ボーイさんが作ったカクテルが飲みたいんです」
小松大介は「そうですか〜わかりました。今お持ちします。少しお待ちください」
小松はカクテルを作る為カウンターに行った。
暫くすると小松はカクテルを持って野村祐樹のところへ行って野村に自分が作ったカクテルの説明をした。「野村様こちらは野村様をイメージして作ったカクテルでタイトルは謎です」
野村はそれも想定内だったらしく自宅で書いたらしいメモを小松に見せた。「私のイメージが謎?」
小松は言った「はい、野村様は秘密があるような気がしてならないのです。野村様はもしかしたら?オーナーの知り合いですか?この店の事をよく知ってる感じがするんです。メモもまるで私達ボーイが話してくる内容を知ってるみたいに色々と用意してきたみたいですし、もしかしてオーナーに様子をみて来てほしいとか頼まれましたか?それにフードメニューで一番安いものを注文するお客様は見たことありませんからね」
野村祐樹は言った「大介合格だ!」
小松大介は「えっ?その声は」
「僕だよ。榊陽介だよ。他の従業員は入ってきた時から変装に気付いて笑い出したけど大介にはバレなかったな」
「陽介これはどういう事なんだ?」
榊陽介は言った「大介〜今は失業中だって言ってただろう?だからこの店を大介に譲ろうと思ってテストしたんだよ。変な人に僕の大事な店を譲れないからね。古いからリフォームする時は言ってくれ。僕と黒川はこの店を君に託して共同経営として榊黒酒店としてお店を出そうと思っているんだ。君はお客様を大切にする人間性もとても素晴らしい。
だからこの店で働いてくれ、ただしこの店は一号店だ兄弟店として榊黒フレッシュクラブを出したいんだ。この店は夜の会員制クラブだけどこれから出す店は昼間だけの会員制クラブにしようと思うんだ。
今は働き方も様々で夜仕事で昼間は自由って言う人もいるだろう。
僕はお昼のクラブで昼間悩んでる人の相談に乗りたいんだ。
もちろんここも昼間だけど会員制クラブでね。
だから大介これからもこの店を一号店会員制ブラッククラブをこれからも宜しく頼むよ」
僕はしばらく呆然として言葉が出なかった。
暫くして正気を取り戻した僕は「陽介僕は、経営
なんてした事ない。手伝うことしかできない。僕には無理だ」
それを聞いた陽介は言った「じゃあこの店は閉店になるけどいいかな?僕と黒川はもう新しい店の場所を決めて工事もしてるんだ」
「でも、経理は?」
黒川は言った。もうすぐ僕の弟が来るはずだよ。経理担当としてこの店で働きながら新しい店の宣伝をホームページでしてくれるんだ。
それを聞いた僕は、この店を閉めるわけにはいかない。
会員制ブラッククラブのオーナーになる事を約束した。
それにしても陽介はいつもこんな感じで面接をするのか?従業員の田辺はるみに聞いてみた。
どうやら僕とは少し違うけど似たような凝った面接にみんな合格してここで働いているらしい。
「来ました。僕の弟の黒川博信です。
宜しくお願いします。経理担当です」
その時、陽介は言った。「働いてもらうためには奥の個室で僕と話をしないとね」
「はあ?わかりました」
黒川博信は陽介の後をついて行き奥の個室に入って言った。
また今夜も会員制ブラッククラブの面接が始まる。今度はどんな面接をするのか?
僕は個室を覗きたいけどできなかった
僕はこの店を頼まれたのだから。。。
今宵も陽介の面接は続く〜。
僕はこれからも宜しくと陽介が言った言葉が耳から離れない。。。
僕が何で陽介だと気づかなかったか?
それは、陽介がカツラを被って帽子を被ってサングラスをかけて髭をぼうぼうにつけていたから僕だよ。そう言って全てを取るまでわからなかったのさ。友達でもね。
完
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