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このまま壱威は私から離れていくの?
小さくなっていく背中を見ながら、胸の中はまるでポッカリと穴が開いたようだった。
脳裏にふと過る彼の優しい笑顔。
ううん。やっぱりこのままなんてダメだ。
「追いかけよう」
後退りそうになっていた足を前に踏み出し、ぐっと拳を握る。
壱威がどうしてあんな態度を取るのか。
絶対に確かめてやるんだから!
──と、意気込んだのはいいものの。
やはり足の長さの差では到底敵わず、結局こんなところまで付いてきちゃったけど……屋上になんの用事があるんだろう?
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