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「でも、確かに……」
この階段を上った先は終点。
つまり、屋上しかないはず。
もちろん人が飛び下りれる高さでもなく、逃げ場なんてどこにもない。
「おかしいな……」
不思議に思いながらポツリと呟き、思い切って屋上へと足を踏み入れる。
晴天の空の下に伸びる自分の影を見つめ、フェンスの手前まで歩み寄ろうとした時だった。
「……っ、……あ」
人影もない屋上なのに、小さな誰かの声が微かに聞こえた。
その声に耳を澄ませながら、入り口のある建物の反対側。
裏手の方へとゆっくり歩いていく。
「確かこっちの方から──…っ?!」
危うく壁の角から顔を出しかけて、引っ込む。
そこで見てしまった光景に私は息を呑んだ。
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