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「…………」
彼女の上唇を舌で舐め上げながら、壱威の視線が不意にこちらを向く。
その瞳が私の姿を見つけて驚くどころか、楽しげに細められた。
「……っ!?」
今私の目の前にいるのは、本当に壱威?
私の知っている壱威はいつも三人でいるのが当たり前で。
私が泣いたり困ったりしている時は、優しく包み込んでくれるような暖かい存在だった。
……でも、今目の前にいる壱威は知らない女の子を抱いて、私に見せつけるようにキスをしている。
こんな……こんな壱威を。
私は知らない……!
「あっ!」
思わず後ずさった刹那。
震える足に力が入らず、ガクンとその場に崩れる。
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