358人が本棚に入れています
本棚に追加
「どう? 視姦は興奮した?」
「……っ」
座り込んだ壱威に顎を掴まれ、無理やり上向かせられる。
瞳に映った壱威の表情は一言で例えるなら“無”だった。
焦りも怒りも、何もない。
不気味な程に無表情で塗り固められていた。
「私が付いて来てたこと……壱威は知ってたの?」
聞きたいことは色々あった。
その中でも一番気になっていたこと。
それが自然と口をついて出る。
「知ってたよ」
あっさりと肯定する言葉。
私の存在に気づいていながら、壱威はあんな姿を見せつけていたの?
鋭利な刃で心を抉られるような気分だった。
最初のコメントを投稿しよう!