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「……愛してるよ」
「私も……愛してます」
夢みたい。
やっと新さんと……最後まで……
恍惚とした余韻に浸りながら、彼に身を預ける。
胸に顔を埋めて、「ありがとう」とお礼を呟いた。
「俺の方こそ」
ぎゅっと抱き締めてくれる温かさが心地良くて、守られている安心感にホッとする。
今日一日のことで、もっと彼への愛情と信頼が深まった。
一緒にいるとこれ以上ないくらい楽しくて、安心して。
触れられることが心底嬉しい。
どうかこのまま、ずっと傍にいられたら。
「……家族になりたい」
抑えきれなくなった思いがつい言葉に変わる。
「新さんと、本当の家族になりたいです」
そう伝えてしまってから、すぐに我に返り後悔した。
まるで結婚をせがんでいるみたいだ。
付き合ってまだ数ヶ月で、一度ひとつになれたからって何重いこと言ってるの。
こんなんじゃいくら新さんでも困惑してしまう。
「……ごめんなさい。今のは、」
「それ、死ぬほど嬉しいんだけど」
「え?」
涙目になって微笑む彼にびっくりして、目を見開いた。
彼は起き上がり、脱ぎ捨ててあったズボンのポケットから何かを取り出すと、私にそれを見せた。
「これっ……」
手のひらの上の小さな箱の中身は、今日一緒に見ていたダイヤモンドのエンゲージリングだった。
「……ごめん。やっぱりどうしてもお返しあげたくて」
真っ赤になる新さんに、再び堰を切ったように涙が溢れた。
「結婚しよう、光花」
「そんな……」
揺るぎなく微笑み、私の左手の薬指にリングをはめてくれる。
「お、良かった。ぴったりだ」
安堵するような声。
薬指に輝く光に目を奪われ、呆然と見つめた。
「……ほんと……に?」
「本当に」
「後悔しない?」
「するわけないだろ」
私の溢れる涙を指で拭って、優しい笑みを浮かべる。
「もう光花の居ない暮らしなんて考えられない」
声にならない声で、「私も」と頷く。
胸に押し寄せてくる幸福が涙に変わって、ひっきりなしに流れた。
今なら思える。
生まれてきて良かったと。
両親に心から感謝することもできた。
それも全て新さんのおかげで。
彼は私の、過去も今も、未来まで照らしてくれるんだ。
「……流れ星にお礼言わないと」
そんな可愛らしいことを言ってしまう彼が愛しくて仕方ない。
「私も、お礼言わないと」
指を絡めて、ふっと微笑み合う。
「願い、叶ったね」
「……叶った」
夏の夜の奇跡。
きっとどんなに月日が流れても、あの日の流れ星を忘れることはないだろう。
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