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その後、フードコートで昼食をとってからスーパーで買い物をすることに。
途中から薄々気づき始めていたけど、新さんはかなり目立つ。
食事をしている時も、女性達からチラチラと見られることが多々あった。
きっと魅力的な容姿をしているからだろう。
本人は気づいていないようだけど、ひとつひとつの仕草がスマートで品がある。
こんな人が私を好いてくれているなんて、未だに理解できない。
「光花、野菜安いぞ。きゅうり三本で98円」
名前を呼ばれるくすぐったさと、庶民的な言動が可愛くて顔が緩んだ。
「今日何が食いたい?」
そう尋ねてくれるのも、なんだか憧れのお父さんみたいで。
「……迷ってしまいます」
彼が笑う度に、胸がぎゅっと締めつけられた。
「あ、冷凍餃子はどうですか? 有村フーズ!」
「お前はホントに自社商品好きだな」
「美味しいからですよ」
有村フーズの餃子は、皮がもちもちしていて中はジューシーで、冷凍とは思えないクオリティーだ。
売れ行きを確認しつつ、よだれが出そうになりながら眺める。
「餃子なら俺が作ってやる」
「え?」
「有村フーズもいいけど、俺も餃子得意だ」
「すごい。新さん、なんでも作れるんですね」
本当に料理上手なんだ。
私なんか、ほとんど有村フーズの冷凍食品ばかりなのに。
「そうと決まれば早く帰るぞ。包むの手伝ってくれ」
課長と餃子作り……。
何故か胸が躍るような気持ちで、威勢良く「はい」と返事をした。
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