私の心を照らすのは

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「そう言えば、ケーキ買ってきました! 食後に一緒に食べましょう!」  冷蔵庫にケーキの箱をしまう私に、彼も微笑み返してくれる。 「お! ありがとう。おめでたいことでもあったのか?」 「あじさい屋珈琲さん、契約とれました!」 「そうか! でかした!」  食事を始めながら、彼は私の今日の出来事に笑顔で耳を傾けてくれる。  そうやって日々のことを聞いてくれる誰かがいることも、自分にとってとても重要で尊い。  ご飯によく合う肉じゃがも、涙が出るほど美味しかった。 「よくやったな。さすが光花だ」 「課長の指導のおかげですよ」  二人で賑やかに過ごす食卓。  一緒に食べるご飯の味を噛みしめて、食後のデザートにも心が踊る。 「……あと、笑顔が素敵だって、褒めてもらえました」  それも新さんのおかげだ。  そう思って、はにかんで笑う。  だけど向かい側の彼は、急にムッとした顔に変化した。 「それ、……男が言ったのか?」 「そ、そうです。購買担当の、栗原さん」 「そうか……」 「……新さん?」  なんだか余計なことを言ってしまったみたいだ。  途端に気まずくなる雰囲気に、後悔が募る。 「あの……私なにか余計なことを」  少し調子に乗ってしまったかな?  浮かれていては足下をすくわれる。  そう窘められるかもしれない。 「……いや、すまない。可愛がられて、相手の懐に入れることは営業として優秀な証拠だ。しかし」 「……しかし?」  新さんは真っ赤になって目を伏せた。 「お前が他の男に笑顔を振りまいているところは、想像したくもない」  あまりにも真っ直ぐ言ってくれるから、自ずと私の体温も上がる。  胸が高鳴って、きつく締めつけられて苦しい。  こんな気持ちを、私が経験するなんて。   「に、肉じゃが美味しいです」 「……そうか。たくさん食え」  少しぎこちない空気の中、私達は食事を進めた。  
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