本当の家族に

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「ちょっと……待って……」  新さんが秒速の勢いで当日予約してくれた、水族館のビルに併設されているホテルの一室。  部屋に入った途端、息つく暇もなく唇が重なった。  とろけるような深い口づけを交わして、ベッドに着く前にどんどん服を脱がされていく。 「もう、無理」  今日の新さんは一段と性急だ。  素敵なホテルに連れて来てもらったのに、内観や大きな窓から見える景色を眺める余裕もない。  まだ日が暮れていない午後のうちから、明るい部屋で身体を見せるのは恥ずかしかった。  それに、シャワーだって浴びてない。 「あ……待って」  羞恥に身を捩る私を妖艶な笑みで見下ろし、わざと意地悪に私の身体をまじまじと見つめる。 「やだ……見ないで」 「なんで? こんなに綺麗なのに」  ひとたび新さんの指が触れると、条件反射のように身体が反応し嬌声が漏れた。 「だめ……」 「でも身体は喜んでるよ」  ニヤリと笑って、胸の膨らみに指や舌を這わす。  お腹の奥がふわふわする感覚に悶えて、シーツにしがみついた。  唇で強く吸われる度に痺れるような感覚に襲われ、全身が弛緩していく。  彼の愛撫はどんどん下半身へ下がり、お腹や太腿の内側にキスマークをつけていく。  ついに下着を脱がされると、奥からトロリと蜜のようなものが溢れていくのがわかった。 「今日、すごいね」  そう言って彼はそれを指や舌で絡め取り、ナカを執拗にかき乱す。  液はなくなるどころか止めどなく滴り、シーツが濡れていくのがわかった。  羞恥や快感で頭の中はめちゃくちゃで、声を漏らしながら与えられる刺激に耐え凌ぐしかなかった。  次第にせり上がっていく快楽は絶頂を迎え、びくりと仰け反り息も絶え絶えに力尽きた。 「ぁ……気持ち……い……」  額に浮かんだ汗を拭って、再びキスをくれる新さん。  未だ冷めやらぬ熱と快感の余韻に浸り息を整える私を、優しく撫でてくれる。  お互い生まれたままの姿になり、全身も指も絡めて何度もキスをしていくうちに、一度満たされたはずの欲は性懲りもなく募っていった。
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