これからもよろしく

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これからもよろしく

「これからもよろしく」  そう言って貴方がいなくなってどのくらい経ったのかな。  いや、覚えてる。  だってほんの数日前の事なんだから。  そう…その言葉を聞いたのは、幼なじみの拓真に体育館裏で告白された時だった。  私はその場でOKして、付き合う事になって……その時にお互い()()()()()()()()()と言って一緒に帰った。  その帰りの信号を渡ってる時だった。  車が勢いよくこちらに向かってきたのが見えた。  まるでスローモーションに見えて……私は動けなくなってしまったが、ドンっと押された感触があり私は前乗りに倒れる。  ドカンっと何かがぶつかる音が響いた。  私は慌てて振り向くと拓真が倒れていた。  何があったのか分からなかった……。 「拓真……?拓真!!」  私は拓真に駆け寄り揺さぶるが拓真から返事がなかった。  ひたすら声をかけ続けるが拓真から返事が帰ってくることがなかった。  すぐに救急車が来て拓真と私は病院へと運ばれていった。  そこから私は覚えてない。  気づいた時には霊安室で冷たくなった拓真を見ていた。 「拓真……?」  いつものように何だ?と返事が帰ってこない……。  そこで耐えきれなくなった私は泣き叫んだ。  拓真……拓真……拓真……!!  拓真に縋りつきながら私は泣き続けた。  そして今、拓真のお葬式に来ている。  拓真は友達が多く、好かれるタイプだったので拓真のお葬式にはたくさんの人が来ていた。  友達、先生、近所の人、親戚……本当に拓真の死を皆、悲しんだ。  拓真の死因は交通事故だった。  私と信号を渡ってる時に居眠り運転の車に一緒に轢かれそうにになった時、私を庇い跳ねられ、打ちどころが悪かったせいで拓真は亡くなった。  だから拓真の身体には交通事故で亡くなったとは思えないほど綺麗だった。  いよいよ出棺の時だった。  皆で花を一輪、拓真の棺桶に置いていく。  私もそれに続いた。  そこで私は拓真の顔を改めて見た。  本当に綺麗で眠っているようだった……私はもう涙が枯れるほど泣いたのにまだ涙が出て泣いていた。  それにつられ皆泣き始めた。  これが夢であって欲しい……。  そしたらどんなに良かったか。  その時だった……私は不思議な感覚を感じ取った。  誰かが私を呼んでいる。  誰かは分からない。  でもどこかで聞いた事ある声だった……でも思い出せない。  誰?私を呼ぶのは誰? ――さ……き……さき……咲……!戻ってこい、咲!!―― 「戻る?どこに?」 ――こっちだよ……さぁ、思い出して―― 「この声は私?思い出す?……っ!痛っ!」  私は頭が急に痛くなりその場にうずくまった。  一体何?何が起きてるの? ――咲……!!―― 「拓真……?……あ」  私はやっと私を呼んでるのが拓真だと分かった。 「拓真?どこ!?いるの?拓真!」  私は改めて周りを見るとさっきまでいたお葬式会場ではなく真っ暗の空間にいた。  え?となった。  ここがどこなのか分からなかった。  怖い……!! 「いや……ここどこなの……怖い!!」 ――こっちよ―― 「……私の声?」  自分の声がした方へと向くと、一筋の光が見えていた。  私は無意識にその光に向かって歩き出した。  歩くにつれて光がどんどん強くなっていく。  光の先には扉があった。  私はなんの躊躇いもなく扉を開けると眩い光が差し込み、思わず目を瞑った。  次に目を開けた時は見慣れない白い天井が目に入ってきた。 「咲!?」  名前を呼ばれ、呼ばれた方へと横を向くと、今にも泣き出しそうな拓真の姿だった。 「拓真?」  私は拓真がいると分かり、ガバッと起き上がり泣きながら拓真に抱きついた。 「生きてる……拓真、生きてる!!」 「咲……あぁ、俺は生きてる……生きてるよ」  私はしばらく泣き続け、拓真はそんな私をずっと抱きしめて頭を撫でてくれていた。  あの出来事は夢だったのか……それにしてはリアルな夢だった。  私は拓真に抱きしめられながらそう思っていた。    拓真からの後から聞いた話だけど、信号を渡ろうとした時、突然私は倒れたらしい。  原因な不明だった。  私はその後1週間意識不明で入院していたとのことだった。 「咲……咲が夢を見ていた出来事はいつかあった未来の出来事だったらしい」 「どうゆうこと?」 「俺もその時間からきた咲から聞いた話だから詳しくは分からないが……」  私は拓真が何を言っているのか分からなかった。  私が来た?どうゆうこと? 「うーん……つまりよくアニメとかにあるifストーリーみたいなもので、あるかもしれない未来だったらしい……咲が倒れたのはそのifストーリーに巻き込まれてしまい、肉体と精神が二つの世界に別れてしまった……このままではifストーリーで精神がそのまま定着してしまい残ったこちらの世界の肉体は死んでしまうって事だったんだ」 「じゃああの夢は……本当にあったかもしれない未来だったの?」 「そう言うことだな」  私は改めて拓真に抱きついた。  あの夢が現実なら私はきっと生きていけなかった。  こっちが現実で良かった。  本当に良かった。 「……本当にあの夢が現実じゃなくて良かった……!」 「あぁ……俺も咲を悲しめたくないからこっちが現実で良かった」  良かった……本当に良かった。  私は拓真に抱き合いながら泣いていた。 「拓真、これからもよろしくね」 「あぁ、こちらこそ。これからもよろしく」         
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