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「岩山の方へ行きました。あ、早く活け造りを食べなくては」
「そうだな。食べてから、今後のことは話し合おう」
川魚も蛸もとても美味しかった。だが、食べてもお腹がいっぱいにならなかった。逆をいえば空腹を感じていなかった。妖怪になったから食べなくても大丈夫な体になったのか。
食べたものを片付けて林田と向かい合った。
「君、いかだが完成して助かったとしても人間に戻れるとは限らないよ。それでもいいのかね?」
「ええ。猫は猫で楽しいじゃないですか。私は今、ネズミみたいなものに、じゃれたくてたまりません」
紘一は笑顔になる。
「そうか。じゃあ、これからもよろしくな」
二人は握手を交わした。紘一が妻と子供のところへ戻れればいいが。
終わり
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