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ただ、妻が夜中に一度目を覚ましたとき5人の子どもたちが部屋から出ていくのを見たと証言した。
その後ろ姿はイケニエになった子供たちそっくりだったという。
しかしその証言については妻が日頃からイケニエについて気にしていたことで妙な夢を見たのだろうということで聞き入れてもらえなかった。
『あの子たちが戻ってきたに決まっているのに。それで夫を連れて行ってしまったんだ』
妻は親しい友人らにそう話して回った。
その話を信じる者もいたけれど、ほとんどの者が妻は狂ってしまったのだと判断して相手にしなかった。
そんなことがあったある日のことだった。
『大変だ! 工藤さんとこの旦那さんが変死した!』
その知らせは長が死んでちょうど一週間後にやってきた。
大急ぎで工藤家へ向かった妻は、ちょうど死体が運び出されるところを目撃した。
工藤の夫は白目を向き、胸をかきむしるようにして固まっていたのだ。
それは自分の夫が亡くなったときと全く同じ様子で、更に工藤は雨乞いのイケニエに深く関わっている人物の1人だった。
それを見た瞬間妻は震え上がった。
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