5つ目の首

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『奥さん、あなた5人の子供を見ましたか?』 青ざめて泣きじゃくる工藤の妻へ駆け寄って容赦なく質問する。 悲しんでいる工藤の妻をうやまう暇などなかったのだ。 すると工藤の妻はハッと息を飲んで目を見開くと、そのまま家の中に駆け込んでしまったのだ。 その反応は子どもたちを見たと断言しているのと同じだった。 やっぱりそうなのだ。 イケニエになった子どもたちが戻ってきたんだ! それからもイケニエに携わった人々が朝になって死んでいる事例が多く起こった。 それ以降どれだけ水不足が続こうが決してイケニエの儀式を行うことはなく、更に子どもたちの怨霊については広くたかり継がれる事になっていった。 『あの子たちはいつかこの街に復讐しに来る。この街を壊滅させにくる』 年老いて寝たきりになった長の妻は、死ぬ間際までそうつぶやいていたのだった。 134 / 142 ☆☆☆ 「これを見てくれ」 明宏は過去の出来事を全員へ説明したあと、首切り人だった人たちの一覧を表示させた。 明治45年のイケニエの首を切ったのは5人。 その中に原田という名字があったのだ。
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