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電圧はきっと最大にしてあったに違いない。
スタンガンを押し当てられた首元はまだビリビリとしびれていて、焼けた感覚もある。
「やっと起きたの?」
智子の声に顔を向けると、ビニールシートの上に転がる黒い化け物に気が付いた。
化け物も自分たちと同じように拘束されていて、すでに四肢が切断されている状態だった。
「これを解いて!」
叫んでじたばたもがいてみても、ロープは緩まない。
声も枯れていてほとんど出なかった。
「うん、解いてあげる。だけどもう少し待ってね?」
智子はそう言うと腕時計を確認した。
そうだ、今は何時だろう?
「時間を教えてくれ!」
明宏が叫ぶ。
他の2人もすでに意識を取り戻したみたいだ。
「時間? 時間はねぇ……」
智子が時計から視線を外してニヤリと笑う。
その笑みに背中がゾクリと寒くなった。
智子の視線が空へ向かう。
佳奈はつられるようにして視線を向ける。
丘の向こうから光が上がってきているのが見えた。
嘘でしょ。
もう夜明け!?
大きく息を飲んで、そのまま呼吸を忘れてしまう。
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