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一文字一文字読んているのではなく、大きな見出しだけ確認して行っているようだ。
その様子を横から見ていた佳奈は思わず「あっ」と声を上げていた。
同じタイミングで明宏が資料をめくる手を止める。
そこには大きな文字で『イケニエの儀式について』と、題が書かれているのだ。
「まじかよ。そんな堂々と書いてるなんて信じられねぇな」
大輔が呆れた声を上げる。
確かに、イケニエのような街にとって隠したいであろう過去がここまで堂々と記載されているとは思っていなかった。
「この資料は貸し出し禁止のものなんだ。それに誰も手にとってないみたいでホコリがかぶってた。きっと図書館の人たちも忘れてたんだろうな」
明宏は説明しながらファイルに目を走らせた。
それはこの街の明治頃までイケニエの制度があったことの記述で間違いがなかった。
この街が長年水不足で悩んでいて、それをきっかけに雨乞いの儀式ができたこと。
雨乞いの儀式を行うときには街の中から5人のイケニエが選ばれていたこと。
「5人って、あの地蔵の数と同じだ!」
春香の声が思わず大きくなる。
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