歴史

4/7
前へ
/109ページ
次へ
「あぁ。それに、空き家で見つけた写真に写っていたのも、5人の男たちだったな」 明宏は答える。 イケニエとして選ばれる者は長の占いによって決められる。 更に、イケニエに選ばれても儀式当日までは本人には内緒にされた。 当日に逃げられないようにするためだ。 時には儀式の重要人物として手伝いをさせて、イケニエは自分ではないのだと思い込ませたりもしていたようだ。 「自分が死ぬ瞬間まで騙されるなんて……」 佳奈は思わず苦しげな声でうめいた。 もしも自分がそんなことをされたとしたら、長のことを恨み続けるだろう。 イケニエとして選ばれた人間はなにも知らないまま儀式会場まで連れてこられ、街の人たちが見ている前で首を切られたそうだ。 「あの地蔵にも首がなかったな」 大輔が言う。 明宏は真剣な表情で頷いた。 「あの地蔵はイケニエになった人たちのために作られたと思っていいだろうね。ここに三福寺の名前も出ているし」 明宏が指差した箇所を読んでみると、三福寺が儀式に協力していたことが記載されている。
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加