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しかし、文句を言うべき相手は誰なのかわからないままだ。
「無茶言っちゃダメだよ大輔。次の人たちはもしかしたら女子だけかもしれないし、大輔や慎也みたいに喧嘩に強い人ばかりでもないんだから」
春香が慌ててたしなめている。
「もしも、昨日の夜のうちに首を探していた全員が黒い化け物に殺されていたとしたら、どうなるんだろう?」
ふと佳奈が思ったことをそのまま口に出してしまった。
佳奈の言葉に他の3人は黙り込み、呼吸をするのも忘れてしまった。
もしも昨日のうちに全員死んでいたら?
黒い化け物に負わされた傷は現実で、翌日以降も引きずっていくことになる。
佳奈の視線は自然と怪我が治りきっていない大輔へ向かった。
傷はもう塞がってきたようだけれど、今でも無茶な動きはできない。
「全員死んでいたら、きっとまた違うイケニエを探すことになるんだと思う」
沈黙を破ったのは明宏だった。
明宏はジッと3人目の地蔵の顔を見つめている。
年齢はきっと自分たちと同じくらい。
見覚えがないか記憶をたどっているけれど、やはり地蔵の首についた顔は知らない人物だった。
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