知らない顔

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「わかった。行こう」 大輔が他の3人を促して大股で歩き出したのだった。 ☆☆☆ 夏休み中のバスの中は家族連れやカップルが多くて4人はどこか居心地の悪さを感じた。 と言ってもはためには自分たちだって夏に浮かれている学生カップルに見えたかも知れない。 「チッ」 大輔はバスを下りると思わず舌打ちをしてしまった。 バスの中で感じた楽しげな雰囲気につい腹を立ててしまったのだ。 乗客たちが悪いわけじゃないけれど、どうして自分たちだけがこんな目に。と、感じてしまう。 「ごめんね大輔」 後ろから歩いてきていた佳奈がそっと声をかけた。 大輔はその声に驚いて振り向く。 そしてお守りを持っていたのは佳奈で、他のイケニエを差し出すことに反対したのも佳奈だったことを思い出した。 「いや、別に佳奈を責めてるわけじゃねぇから」 慌てて言うものの、顔は笑顔がひきつっていた。 少なくても佳奈があの寺のお守りなんてもっていなければと、ずっと感じていたことだった。 佳奈は弱々しい笑顔を浮かべて「ありがとう」と、答えたのだった。 ☆☆☆
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