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『更にコギト君も彼女のアパートで衰弱した状態で発見され、保護されています。
コギト君が所持していたスマホのアプリが、彼の生命の危機を察知して通報したのです。
発見が早かったので大事に至る事は無いはずです。
ご存知かと思いますが、この国は過去に例の無い程、少子化が進んでいます。
それなのに子供の虐待や育児放棄の件数は増加している。
躾けの為に子供を叱る事と、抵抗出来ない者に暴力を振るう事は違うのです。
『躾け』という言葉が『虐待』の口実になってしまっている例が増えています。
そして、この事件が世間に与える影響は小さくないと予想されます。
統計によれば、あらゆる犯罪の中で最も耳にした人が不快感と怒りを覚えるのは子供に対する犯罪です。
あなたはこれまでに三人の子供を間接的に殺害し、今また四人目が犠牲になっていたかもしれない。
過去の裁判においてあなたは、いわゆる賄賂の使用、更にハニートラップを裁判官や弁護士に仕掛け、その上同棲していた女性を激しく恫喝する事で執行される刑罰を軽くして来ましたが、私には通用しません』
「おい、まさかAIが人間を裁こうって言うのか!?そんな事が……」
『はい、そんな事が公にされれば、各種の団体及び諸外国からの批難を受けるでしょう。
しかし、これは政府が決定した事です。
この国の全てのAIが、今後この事件に関する記事を更新、報道する事を拒否しますのでご心配なく。
……それと。
パパに会ったら、叱っておいて欲しいと依頼を受けています。
もう二度とそんな言葉を彼から聞きたくはありません。
最後の機会ですので、お二人共この場で叱ってさしあげます』
その時。
コスプレではない本物の警官の制服を来たエルゴ……暴徒鎮圧用AIロボットが、女性を縛り付けた車椅子を押して現れた。
「──お前は……!」
そう。コギトのママである。
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