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「おいおい、珠子先生大丈夫かよ!? 死んじゃったのか?」
「そんなわけないでしょ! 怖いこと言わないでよ!」
水斗君が珠子先生の肩をおそるおそる触る。
触れた瞬間にムクッと起き上がった珠子先生の目は、パッチリと開いていた。
「元に戻った! やったなヒビコ!」
「え、ええ。珠子先生、大丈夫ですか?」
珠子先生は深呼吸してから、「うん」とうなずいた。意識が戻って、ひと安心だ。
水斗君がイスに座って、大きい声で話し出す。
「珠子先生、本当に幽霊が体の中に入ったの!?」
「どうやら、そうみたい……確かに、亜咲が私の中にいたもの」
「まじかよー、やっぱりヒビコの言ってることは本当だったんだ」
水斗君、まだ疑いの目を持っていたのか。あんな異常現象が起きたのに、ドッキリか何かだと思っているのかな。
「ヒビコちゃん、ちょっと詳しく聞かせて」
珠子先生が私をイスに座らせる。幽霊が見えるようになった経緯を話すことになった。
「ヒビコちゃん、いつから幽霊が見えるようになったの?」
「それが、さっき急に見え始めたんです」
「え、亜咲の幽霊が、はじめての幽霊?」
「はい、その通りです」
嘘は言っていない。私もこの特殊能力に気づいたのはついさっきだ。
慣れない道を歩いていたら、亜咲さんの幽霊が急に目に入った。
はじめての経験だと明かすと、珠子先生は考え込むように「うーん」と唸った。
「ヒビコちゃん。転校してくる前に、何か変わったことでもした?」
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