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「あと、夢の中で言っていた力になってくれる者って、水斗君のことなんじゃない?」
珠子先生が水斗君を指差す。
水斗君は急に名前を呼ばれて、驚いたように立ち上がった。
水かけ地蔵さんの霊が夢の中で言っていた、力になってくれる者……それが水斗君って?
一体どういうことなの?
「正確には、水斗君の料理ね。さっき亜咲を成仏させてあげれたのも、水斗君の除霊ご飯のおかげだったわけだし」
「除霊ご飯って……」
「成仏ご飯よりは言いやすいでしょ」
まあ、確かに。成仏ご飯だと語呂が悪いかも。
いやいやそんなことはどうでもいいんだけど。
水斗君はほめられていると思っているのか、少しにやけている。
珠子先生は家庭科室にある黒板に、わかりやすく成仏の仕組みを書いた。
ヒビコちゃん(浮遊霊が見える)→人に憑依するところを発見!
水斗君(除霊ご飯を作れる)→心にしみる除霊ご飯でそのまま成仏!
「こういうことよね! 二人は最高のコンビネーションを生み出せるの!」
私と水斗君は黒板の文字を見て、ポカンとする。
私はともかく、水斗君は何のことかもわかっていない。これまでの話を聞いても、自分は無関係だと思っていたみたいだ。
黒板の前に立っている珠子先生に近づきながら、水斗君はようやく声を出した。
「珠子先生。これ、オレの料理が必要とされているってこと?」
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