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水斗君の真っ直ぐに刺さるような瞳が痛い。そして心強くもあった。
パイナップルを受け取ってから、「ありがとう」を言う。
水斗君はへへへと照れるように笑いながら、「今を生きようぜ」とカッコつけて言った。
「さては水斗君、料理することに目的ができて、嬉しいんでしょ?」
「珠子先生、よくわかったね! だって、今まではただ作って食べるだけだったんだもん!」
さっきの真剣な表情が嘘かのように、おどけてみせる。
水斗君って、本当に料理が好きなんだな……気がついたら私の涙も乾いていた。
もらったパイナップルを食べて、よくかむ。少し酸っぱい。
そうか……これからこの学校で、私の新しい生活が始まるのか。
しかも、ただの学校生活ではなくなった気がする。
「とにかく! いつかはヒビコちゃんの夢に出てきた、水かけ地蔵さんの霊も成仏させましょ! 水斗君、ちゃんと手伝ってあげてね!」
「わかったって! これでいつでも家庭科室使えるな!」
「それとこれとは話が別です!」
「何でだよー!」
二人とも、仲が良いな……何とか、やっていけそうかも。
珠子先生が担任の先生で、そして水斗君が同じクラスで良かった。
それにしても、浮遊霊を追いかけたせいか目が疲れてきた。
今度はどこで浮遊霊に出会えるのかな……あの水かけ地蔵さんの浮遊霊は、どこにいるのかな……。
今度は頭が痛くなってきた。
今日は早く寝よっと。
明日から授業が始まるみたいだしな。
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