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関根 菜乃(せきね なの)ちゃん……だったはず。
お人形さんみたくクリクリした目ですごく可愛いのに、あんまり笑ったところを見たことがない。
というより、話しているところも見たことがないな。
ずっと一人でいる気がする。
「デン太君! ヒビコちゃんも仲間に入れてあげてよ!」
私の耳の近くで、珠子先生の声がした。その声で、背筋が伸びる。
珠子先生、私のためにデン太君を怒ってくれた……ちょっぴり嬉しい。
仲間外れには慣れているから別にこのままでも良かったけど、やりづらさは感じるからありがたい。
「だって珠子先生、ヒビコよそ見ばっかしてんだぜ! 俺がやった方が良いに決まってるだろ!」
「しょうがないでしょ! ヒビコちゃんまだ転校してきて時間経ってないんだから! 助けてあげて!」
デン太君は納得いっていない表情のまま、私にピーラーを返してくれた。
なんだかすいません……苦笑いで、皮をむく。
水斗君のグループからは、カレーのスパイシーな香りがただよってくる。
「よし、あとはカレーにとろみがついたら、完成だな! 水斗特製、いちごジャム入りカレーライスが!」
いちごジャムを隠し味に入れているんだ……耳だけすまして、私は自分の作業に集中する。
珠子先生は水斗君に対して、「チームで作ったカレーでしょ!」とつっこんでいた。
ほどなくして、私のチームのカレーライスも完成した。
水斗君みたく隠し味とかは入れてないけど、それでもちゃんと美味しかった。
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