あなたの言うことなら

1/1
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ

あなたの言うことなら

「リオ、リオ! 大丈夫??」  ソフィーはレオナルドの側へ座り込むと、彼の頭を膝の上へと乗せる。  レオナルドはヒューヒューと不気味な息づかいをしていて、焦点が定まっていない様子だった。 「どうしてこんなこと……いえ、わたしの為よね。嬉しいけど、こんな危ないことはしないでちょうだい。あなたが傷つくと、わたし悲しいわ」  ソフィーの涙は頬を伝って落ち、レオナルドの顔を濡らす。  少年は力の入らない右腕を懸命に上げて、指で彼女の涙を拭き取る。 「……わらって、そふぃー」  にこっと笑うレオナルド、ソフィーはとてもそんな気分ではなかったが──、 「ええ、あなたが言うなら逆らえないわ」  満面に天使の様な、花の様な、そんな美しい笑みを咲かせてみせた。  レオナルドは更に笑みを深めると、腕をブランと下げ……口から煤色の血を吐き出して動かなくなってしまった。 「……リオ? ねぇ、リオ、レオナルド!! いや、いやよ!! こんなっ!!」  ぴくりとも動かないレオナルドを抱き締めて、ソフィーは大きな声で泣いた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!