死に至る花の病

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 勢いよく和服を開けられて、左の乳首に吸いつかれた時、僕は思わず鼻を抜けるような声を漏らしてしまった。ジンっと甘い疼きが広がっていく。手慣れている様子の隆史さんは、兄にもこうしたのだろうか? いいや、兄は病弱で、そう頻繁に相手をしたわけでもないし、結婚までは双方自由恋愛をしても良いという取り決めもあったようだから、他の者を抱いて得た手腕なのかもしれないが――とにかく巧みなのは理解できる。 「初めては、後ろからの方が多少は楽だ。うつぶせになって、膝を折ってくれ」 「は、はい……」  言われた通りにしようとした時には、手際よく体を反転させられていた。そして、背骨に沿って、肌を舐められた。僕は狼狽える。すぐに挿入されるのかと想像していたため、困惑して瞳を揺らした。これもまた、儀式なのだろうか? 「あ、ああ……っ、ぅ」  体重をかけられて、身動きを封じられる。その状態で前を扱かれ、耳の後ろを舐められた。ゾクゾクとした快楽が広がっていく。隆史さんはそれから長い間、確かめるように僕の体を舐めていた。特に僕は、右膝の裏を舐められた瞬間むせび泣き、太股の付け根を舐められた時には嬌声を上げた。 「やぁ、ァ……も、もう……あ、あ……体が、体が熱……」  既に僕の陰茎は反り返るほどに反応している。先走りの液がタラタラと零れている。 「じゃあ、そろそろ中を解すとしようか」  ローションのボトルを手に取り、隆史さんが優しい笑み交じりの声で言った。僕は体を震わせながら、視線でそれを確認した。 「っ、う」  それからすぐに、ぬめる指が入ってきた。最初は冷たかったが、すぐにローションは僕の体温と同化した。ぐちゅぐちゅと水音が響き始める。最初は一本、そうして二本と、隆史さんが指を増やしていく。そして僕の内側を押し広げるように、かき混ぜるように動かし始めた。知識として知っていた前立腺を強めに刺激された時、僕は首を振って髪を振り乱しながら泣いた。あんまりにも気持ちが良かったからだ。 「あ、あァ」 「ここが好きなんだな。覚えたぞ」 「やぁ、ァ、っ、ぁぁァ」
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