ROBOT

6/9
前へ
/9ページ
次へ
《恵ちゃん、今日の都合はどう? いい店教えてもらったんだ。シーフード好きだって言ってたよね?》 《はい、大丈夫です。シーフード大好きです。》  理久からのメッセージに、返事を入力して送信する。 「なんでも好きなもの頼んでね」 「ありがとうございます」  通された席でオーダーを済ませて一息吐くと、彼が唐突に話題を変えた。 「そうだ。恵ちゃん、ロボ使った?」 「はい。あの、AIロボット? ってすごいんですね! 会話できるロボットなんて、私初めてです」 「まあ、規格自体は既にあるから。アレンジするのは大したことじゃないんだよ」  軽い調子の理久に、ますます尊敬の念が込み上げる。  あんなすごいものを「大したことはない」だなんて。恵とはすべてにおいてレベルが違うのだ、と溜息が出そうだ。 「ロボの答えは役に立ったかな? もし回答が的外れだったりしたら教えてよ。修正するからさ。そういう生の意見て貴重なんだ」 「いえ、全然! 役に立ちました。もうびっくりしました!」  恵の言葉に、彼は満足そうに微笑んでいる。 「どう? この店は俺も初めて来るんだけど、食べ歩き好きな友達のオススメだから信用できると思って。結構美味しいよね?」  テーブルに運ばれて来た料理を取り分けて食べ始める。  理久が自信ありげに問うのに、恵は口の中のものを飲み込んですぐに言葉を発した。 「すごく美味しいです。私の好物覚えててくださったんですね」 「俺も好きなんだよ、シーフード。気が合うなと思ってね」  楽しそうな理久に、自然恵も笑顔になる。  そう、彼はずっと楽しそうだ。やはりあのAIロボットの言う通り、なのか。  この人なら、大丈夫かもしれない。そう、信じてもいいのだろうか。今度こそ?
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加