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《恵ちゃん、今日の都合はどう? いい店教えてもらったんだ。シーフード好きだって言ってたよね?》
《はい、大丈夫です。シーフード大好きです。》
理久からのメッセージに、返事を入力して送信する。
「なんでも好きなもの頼んでね」
「ありがとうございます」
通された席でオーダーを済ませて一息吐くと、彼が唐突に話題を変えた。
「そうだ。恵ちゃん、ロボ使った?」
「はい。あの、AIロボット? ってすごいんですね! 会話できるロボットなんて、私初めてです」
「まあ、規格自体は既にあるから。アレンジするのは大したことじゃないんだよ」
軽い調子の理久に、ますます尊敬の念が込み上げる。
あんなすごいものを「大したことはない」だなんて。恵とはすべてにおいてレベルが違うのだ、と溜息が出そうだ。
「ロボの答えは役に立ったかな? もし回答が的外れだったりしたら教えてよ。修正するからさ。そういう生の意見て貴重なんだ」
「いえ、全然! 役に立ちました。もうびっくりしました!」
恵の言葉に、彼は満足そうに微笑んでいる。
「どう? この店は俺も初めて来るんだけど、食べ歩き好きな友達のオススメだから信用できると思って。結構美味しいよね?」
テーブルに運ばれて来た料理を取り分けて食べ始める。
理久が自信ありげに問うのに、恵は口の中のものを飲み込んですぐに言葉を発した。
「すごく美味しいです。私の好物覚えててくださったんですね」
「俺も好きなんだよ、シーフード。気が合うなと思ってね」
楽しそうな理久に、自然恵も笑顔になる。
そう、彼はずっと楽しそうだ。やはりあのAIロボットの言う通り、なのか。
この人なら、大丈夫かもしれない。そう、信じてもいいのだろうか。今度こそ?
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