ROBOT

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「ねえ、……。理久さんてまだ私と付き合いたいと思ってるのかな? それで、──もしまた申し込まれたら、お受けしてもいいんでしょうか?」  帰宅するなり、恵は着替えもせずにベッドに腰掛けてロボットのスイッチをONにして問いを投げた。  ピピピ、キュイ……キュ…… 【ハイ(はい)】 【カレハアナタヲトクベツニオモッテイマス(彼はあなたを特別に思っています)】 【ダレヨリモタイセツニシタイト(誰よりも大切にしたいと)タイミングヲミハカラッテイマス(タイミングを見計らっています)】 【コクハクサレタラ(告白されたら)ウケルノガイイトオモワレマス(受けるのがいいと思われます)】  明瞭で具体的な回答。  本当にすごい。このロボットは、……製作者の理久は。  そんな人が恵を求めてくれているのなら、その通りにすればいいのではないか。なんの取柄もない自分が、彼に楽しい時間を与えられるのならそれだけで。  不意にベッドのシーツの上に放り出していたスマートフォンが通話着信を知らせた。視線を向けたディスプレイには「渡部 理久」の文字。 「はい! 理久さん──」 『恵ちゃん? 今ちょっとだけ話してもいい?』  気遣ってくれる理久に抗う気など最初からない。 「ええ、どうぞ」 『往生際が悪くて申し訳ないんだけど。無理なら断ってくれていいし、これで本当に最後にするから。……俺と付き合ってもらえないかな? 特別な、恋人として』  心臓が鷲掴みにされたような気がした。  どうして今。まるで恵の心を読んだかのようだ。  しかしもう気持ちは決まっていた。ゆっくりと息を吸って、一瞬止めて。
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