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相坂は長めの休暇を貰い、実家に帰省することにする。
オートワークシステムのお陰で休みは比較的自由に取れるようになっていた。
電車に揺られ、駅から歩き、実家に帰る。
変わらない田舎道を歩くと、懐かしい家が見えてきた。
「あんた、おかえりー」
「母ちゃんただいまー」
母親に会いお土産も渡し、挨拶もそこそこに二階の自分の部屋へと入る。
何も変わっていない自分の部屋。古い漫画を取り出して寝転んで読んでみる。
いつの間にかウトウトと寝てしまっていたらしい。ドアをノックする音で目が覚めた。
「ご飯できたよー」
人にご飯を作って貰うのは久しぶりだ。いや、オートワークシステムを使って、無意識の自分に作って貰ったことはあったが。
だが、懐かしい家庭の味を楽しむことができる。
リビングへ入り、目に飛び込んできた料理を見て相坂は思わず「あっ」と声を漏らした。
普段、自分が食べている料理と全く同じ物がそこには並んでいる。
「すごいでしょー? オートワークシステム家でも買ったのよー、あんたオムライス好きでしょ?」
「……そうなんだ」
席に座って食べる料理はいつもと変わらない完璧な味だった。
これからも相坂は、人類は、オートワークシステムによって質の高い生活を送ることができるだろう。
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