オートワークシステム

6/6
前へ
/6ページ
次へ
 相坂は長めの休暇を貰い、実家に帰省することにする。  オートワークシステムのお陰で休みは比較的自由に取れるようになっていた。  電車に揺られ、駅から歩き、実家に帰る。  変わらない田舎道を歩くと、懐かしい家が見えてきた。 「あんた、おかえりー」 「母ちゃんただいまー」  母親に会いお土産も渡し、挨拶もそこそこに二階の自分の部屋へと入る。  何も変わっていない自分の部屋。古い漫画を取り出して寝転んで読んでみる。  いつの間にかウトウトと寝てしまっていたらしい。ドアをノックする音で目が覚めた。 「ご飯できたよー」  人にご飯を作って貰うのは久しぶりだ。いや、オートワークシステムを使って、無意識の自分に作って貰ったことはあったが。  だが、懐かしい家庭の味を楽しむことができる。  リビングへ入り、目に飛び込んできた料理を見て相坂は思わず「あっ」と声を漏らした。  普段、自分が食べている料理と全く同じ物がそこには並んでいる。 「すごいでしょー? オートワークシステム家でも買ったのよー、あんたオムライス好きでしょ?」 「……そうなんだ」  席に座って食べる料理はいつもと変わらない完璧な味だった。  これからも相坂は、人類は、オートワークシステムによって質の高い生活を送ることができるだろう。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加