氷の先住民

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モニターには、ペンギンが映し出されていた。 「ペンギン?じゃあ、東京に8ヶ所、関東に24ヶ所ある監禁場所というのは・・・」 分析官がグーグルマップで調べる。 「あ〜、水族館と動物園ですね」 捜査官たちは、ホッと息をついた。 「とりあえず、事件性はないということだろうが・・・ところで、なんでAIはペンギンを人間だと判断したんだ?」 分析官が、キーボードを目にも止まらぬ速さで叩いて調べた。 「ええっと、二本足で立って、集団生活しているから、みたいですね」 「いや待て!たしかにそうだが、ペンギンにはクチバシがあって、羽があって、足に水かきがあるだろう?どう見ても人間じゃない!」 「先月可決された『差別禁止法案』が、AIの解析プログラムに組み込まれたんです」 「いつだ?」 「昨日です」 「それがどうした?」 「それによると、人間を外見で差別してはならない、と」 「なんだそれ?じゃあ、卵は?ペンギンは卵を産むぞ!人間は卵を産まないし温めない!」 「それも『差別禁止法案』により、人間を性的志向で差別してはならない、と」 「うぐぐ・・・なんで卵を産むことが性的志向なんだよっ!」 「とにかく、なんとかしてペンギンと人間を区別できる解析法をAIにプログラムしないと・・・」
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