アップデート

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第六話 違和感 「…人多いなぁ…」 1日ぶりの広場は、プレイヤーで埋め尽くされていた。 「…待ち合わせ場所間違えたか…?」 一応、sudatchとの待ち合わせがあるのだが、これではどこにいるのかわからないので、メール機能でメッセージを送る。 「アホほど人いるからで待ってるわ」 そう残し、私はへと向かう。 「あー、やっぱ人いないっていいな~、」 過疎ってないことはいいことだが、如何せん人が多いとデメリットが多い。 「…お、来た来た。おーい」 遠くから来たsudatchの陰に、私は手を振る…のだが、 「あ、これ違うわ、」 そう呟き、デザートイーグルに手をかける。 ここは安置ーいわゆる安全地帯ーではないのだが、滅多にモンスターが出現(ポップ)するところではなかったはずだ。 「…仕様変更したかな?」 デザートイーグルの残弾数を確認しながら、そうつぶやく。MMOゲームに、そういう仕様変更は付き物だ。ありえなくはない。 「…取り敢えず、敵対MOBっぽいな、」 私を認識して走り出すあたり、少なくとも友好MOBではないことは確かだ。 兎にも角にも、クエスト進行MOBだけはやめてほしいのだが…まあ、そこはどうにもならないので、割り切ろう。 「…あ、誰もいない?」 周囲を確認して、誰もいなかったので、ストレージを操作し、「ヘカートⅡ」を取り出し、スコープを覗く。 「…あっぶね、進行MOBだ」 ヘカートのスコープ倍率は、確か20倍位にしていたはずなので、かなり遠い所からでもMOBの種類が分かるのだが、今回はこれで正解だった。 「…さーてと、これどっちだ?」 討伐して進むのか、それとも会話をして進むのか、取り敢えず、解ったことは一つ、 「mac - 11って…」 初心者ならマガジン1ストックでHPが溶けるであろう物騒な(獲物)を構えていたことだ。 「運営は初見殺し好きだねー、…にしても、SMGならAKがあったはずなんだけどなぁ…」 一応、発射レートは誤差程度のはずだったので、どっちでもよかったのだが、正面から戦ったら初心者は一瞬で最初の町送りだろう。 「さーて、と…」 あの射線は、完璧に私を狙っているものなので、敵対とみなして良いだろう。と、いうことなので、私はデザートイーグルを片手で構え、敵の頭を狙う。 「…今狙ってるから邪魔しないでね?」 「だから気配消してたでしょ?」 「普通は余計びっくりするんだが、まあ、感謝しとくよ、」 何時の間にか私の横にはsudatchが立っていたが、私は驚いたりはしない。というよりも、そもそも分かっていた。ヘカートを見られていなければそれでいいのだ。 「…ってかraimuってスナイパー使えたっけ?なんか長物構えてたけど」 …長物を構えていたのは見られていたらしい。まあ、ヘカートとばれていなければ良いだろう。 「ん?ああ、スコープ用に一個だけ持ってる、撃ちはしない」 「あー、なるほどね、」 普通、「デザートイーグルにスコープ付ければいいのでは?」となるであろうこの場面、私とsudatchは分かっているのだが、私のデザートイーグル、反動が並みの人間では吹き飛ばされるほど強く、安物のスコープでは精々1、2回の射撃で壊れ(ロストし)てしまう。 「…で、あれクエMOBっぽいけど、撃つの?」 「手元見てみ?」 私がそう言うと、sudatchはヘカートでMOBの手元を見る。 「ああ…mac-11ね、ありゃあ近づかれたら終わりだね、」 「構えてるし、こっちが先に仕留めるしかないってこと」 「俺がやる?」 「や、多分私のクエだから、sudatchの弾は効かないと思う」 「あー、なるほど」 そうこう会話していると、MOBがデザートイーグルの射程圏内に入った。 ダダァァァァン という、聞きなれたデザートイーグルが鳴らす轟音が響き、頭を打ち抜かれたMOBは、その場に崩れ、青い破片となって消えた。その瞬間、 《      おめでとう!新しいクエストを受理した!        》                        ーOKー という、テンプレのようなメッセージログが視界のど真ん中に現れた。 「あ、やっぱりraimuだけのクエなんだね、」 そう言いながら、遠くを見るsudatch、 「ん?何か居た?」 「や、3人やられてる」 「あー…」 早くも犠牲者が出たらしい。まあ、射程管理がしっかりできていないと、一瞬でHPが溶けるので、私も気を付けないといけない。 「うへぇ、アホほど来るじゃん…」 そうsudatchが呟いたので、視線を前方へ向けると、そこには大量の動物(ビースト)MOBがこちらへと向かっているところだった。 「さーて、めんどそうだからさっさと片すよー、」 「あー、そうだな。」 そう言って、私達はクエストの一部なのであろう大量のモンスターに銃口を向ける。
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