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第七話 本当のクエスト
「うし、お片付け完了ってことかな?」
「まあ、そうっぽいね」
「うへぇ、所持弾薬の2割持ってかれたんだけど…」
「ってーか何体いたんだよあれ、仮にも私たちこの世界で上位体だよね?上位体2人が対峙してやっとって…」
「まあ、二人ともほぼノーダメだけど」
「そりゃそうじゃん、ほかのゲームと違ってこのゲームHP回復手段のハードルむっちゃ高いし」
「まあね~」
大量の動物MOBを倒し切った私たちは、次のクエストの開始地点に向かって足を進める
「あ、これランクで難易度変わるらしいよ」
「なら納得だわ」
流石に全員がこの難易度だったら、クリアするのは最上位帯だけになるし、逆に簡単すぎると上位帯の過疎化の原因にもなる。良い調整だ。
「もしかしたら、この前のゴーレムクエって、プレイヤーのランクの把握のためだったりするかな…?」
「あー、ありえなくもない」
ありえなくもなさそうなsudatchの意見を聞きながら、周囲を警戒する。どうやら、もう安全圏ではないらしい。
「あー。いるね…」
「どうする?」
「余計な戦闘は避けるか、LV上げるか…多分こいつらLV高いよね?」
「大体70後半ぐらいか、それなりに高いな…」
「人型、動物、不定形…多種多様なMOB勢揃いですね~」
「うへぇ、不定形かぁ…」
不定形は、銃弾などの物流ダメージが75%ほどになってしまうので、私のデザートイーグルでも2発必要になる。あと、攻撃手段がデバフ中心なので、鬱陶しいっていうのもあるので、交戦は控えたいという気持ちもあった。
「う~ん、どうする?」
そうsudatchは問うてきたが、私の答えは変わらない。
「スルーで」
「食い気味だねぇ…まあ、私も賛成だね、デバフうざいし」
sudatchも同意見らしく、その場はスルーすることに、
「…さーて、そろそろかな?」
「なにが?」
「中間ボス、」
「流石に…」
sudatchが私の発言に反論しかけた時、それは始まった。
「あーあ、こっち系かよ、」
中間ボス戦には、大きく分けて2つの系統がある。
一つ目は、HPが膨大で、個として完結している「BIGBOSS」系、
それ相応の危険は伴うが、ソロ討伐も可能ではある系列だ。
二つ目は、今言った「カーニバル」系、
まあまあ強いが、HPは並のMOBが集団で襲ってくるボス戦だ。
こちらは、「BIGBOSS」とは違って、ソロ攻略は至難の業だ。
まず第一に、数が多い。
とても一人でさばききれる量ではなく、リロードが間に合わず、最初の町送りになってしまう。
次に、視界が制限されるので、奇襲などを受けやすいことだ。
この手のボス戦のステージはだいたい森林などの司会の悪いステージなので、何処かから狙撃され、最初の町送り…なんてこともあるのだ。
他にもあるが、まあ、一つ言えるのは、ソロは無理ということだ。
最低二人、できれば五人は欲しいところだ。
そんなところに私とsudatchはいるが、私たちは弾切れ以外なら負けることはないはずなので、それなりに緊張感をもって、目の前のMOBを倒し続ける。
「あー、疲れた。」
「これ終わったらご飯でも行く?」
「いいねー、ついでに風呂入ろっと」
「あ、ゴースト出現した」
「うへぇ、めんどそうだからちょっと前出るね」
「了解、援護するね」
「センキュ」
そう会話をし、私は前に出る。
「じゃあなっ!」
そう言いながら、デザートイーグルの引き金を引く。
ダダンダダァァァァン
至近距離で速射2発、デバフが厄介なゴーストは、青い破片となって消えた。
「おっけ、下がるわ」
「了解」
そう短い会話を交わしつつ、MOBを殲滅していく私たち、
《 クエスト完了! 》
《報酬… 鉄素材×1000
火薬×100000
…》
といったメッセージが表示され、私とsudatchに戦闘の終了を知らせた。
「あー疲れた。」
「お疲れ、ご飯どこにする?」
「んー、どこがいい?」
「ぶっちゃけどこでもいい」
「そっかー」
そんな風に笑いあいながら、街へと戻る私たち、
その背中には、鋭い視線が突き刺さっていた。
「…ん?」
視線を感じて振り返ったのだが、何もいなかった
「どうした?」
心配そうに顔を覗くsudatchに、
「や、なんでもない」
と、返した。
「そ、行くよ!」
「う~い」
suatchにそう返事し、私達は歩き始めた。
そう、これからクエストの本番だということを知らずに…
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