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本当のクエスト 序話
「あー食べた食べた。」
「…食べすぎじゃないの?」
「大丈夫大丈夫、」
ご飯を食べ終わり、街を後にした私たちは、クエストを進行させるために森へ入っていた。どうやら、エルフを助けるクエストらしく、如何にも侵略者っぽいモンスターと戦うらしい。
「あ、モンスターってあれ?」
「っぽいね、…LVは…」
sudatchがそう指さした方向にいたのは、巨大なゴーレムだった。そして、そのLVは…
「LVが、せn…」
「危ないっ!」
ズザァァ…
私がLVを言おうとした瞬間、sudatchが叫びながら私を押し飛ばし、その場に倒れた。
その次の瞬間、
ゴ オ オ オ オ オ オ ォ
という咆哮と共に、爆風が視線を覆いつくす。
「…っ、天災系!?」
天災系、又は自然災害系とも呼ばれるハザードモンスターは、銃器などを持たない場合が多く、基本攻撃が地面や障害物、天候、温度、湿度などのいわゆる予測不可能な数値を操作する。
特殊攻撃は、爆発、障害物を飛ばしての打撃など、攻撃方法は普通だが、特筆すべきはその攻撃範囲だろう。
一番使用する種類も使用頻度も多い爆発だが、一度の爆発で約半径1kmが効果範囲となり、軽装備なら爆風だけでも一撃でHPを8割ほど削られるという、予測は簡単ではあるが、予測込みでもそれなりの被害を被るという、もう馬鹿みたいな攻撃なのだ。
そんな爆発だけでも馬鹿みたいに強いのに、その他の特殊攻撃や、銃器を扱うハザードモンスターもいる。
ソロでは到底討伐できないであろうモンスターを総じて、天災系と呼んでいるのだ。
「…どうする?」
そう聞いてくるsudatch、その手にはもうヘカートが握られており、目線はスコープ越しにゴーレムを捉えていた。
「どうするって言っても…弱点、攻撃方法、HP、ATG、その他全てステータス不明、逆にどう攻略すんのさ、普通ならパーティ組んで4,5回様子見てから討伐だろ?」
「まあ、私たちは普通じゃないけどね」
「そうだけども」
「んで、LVはどうだったの?」
「ああ、信じたくはないが…少なくとも1000以上だ。」
「あー、うん、絶対私たちだからだよね…」
この世界には、PL補正というものがある。
そのモンスターを攻略しようとするプレイヤーのレベルを参照してそのモンスターなどのLVを上昇させるというシステムで、上位プレイヤーでもそれなりの、というか、かなりの難易度を保ったままプレイできるという、かなり画期的なシステムで、今RGSがそれなりのプレイヤー人数を維持している理由の一つとして挙げられるシステムだ。
「…ま、何とかなるでしょ、私たちだし」
「その自信はどこから来るのやら…ま、やるだけやってみますかね。」
そういい合いながら、私たちは己の相棒を構える。
「よーいどんで行くよー?」
「おっけー」
久しぶりのボス戦、肌がビリビリする。
「「よーい…」」
そして、始まる。
「「どんっ!」」
本当のクエストが…
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