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本当のクエスト 終話
「「どんっ!」」
ダダダァァァァァァ…ァァァン
ズダァァァァァァァァ…ァァン
二人の掛け声と同時に、銃声がデザートイーグルから3発、ヘカートⅡから1発ほぼ時間差なく放たれ、対象に命中した。
「HPの減り具合は?」
「ざっと2パーセント強ってとこ、弱点補正なしでこれか…」
「まあ、火力は足りそうだね」
そう言い合い、また銃口を対象に向ける。
「…あっ、待って」
引き金を引こうとした私を、sudatchが呼び止めた。
「ん?どした?」
私がそう返すと、sudatchがゴーレムのHPウィンドウを私に見せて、こう言った。
「…これ、どう見える?」
「えと…1万6千?結構多いけど、天災系なら普通じゃ…」
「いや、見続けて」
「…あ、」
そう言われ、初めて気づいたのだが、このゴーレム、HP上限値が徐々に上昇しているのだ。
「これ…どういうこと?」
そう聞くと、sudatchは、
「多分、あともう少し立てばわかるだろうけど、これ、一定時間でHPが全回復して、弱点を一気に叩かないとHP全部吹き飛ばせないやつ、しかも…」
「HP上限値は実質無限、か…」
「うん。しかも、成長中っていうのが面倒だね…」
二人とも揃えて頭を抱えた。
「さて、どうする?」
と、sudatchが切り出してきたが、何も思いつかない。
「策は?」
と、聞き返すと、
「無い…訳ではない。」
「ほう?」
その瞬間、sudatchの手元が慌ただしく動き、次の瞬間には、
「…なるほどねぇ…」
私の身体が青白く光っていた。
「見える?」
「ああ、見える。」
sudatchが私に施したのは、所謂エンチャントだ。有効時間があり、しかも他人にしか施すことができないが、効果は有用なものが多い。
今私に施されたのは、《弱点看破》というエンチャントで、その名の通り、標的の弱点を看破できるというもので、こういう時間制限がシビアな時に有用なのだ。
「んっと…あー、わかった。」
「どこ?」
「身体の中央部、心核だけ」
「あ~、そういう感じ?」
「見たところ、ダメージ倍率は…まあ、100倍だよね…」
「で、どうする?」
そう言い合いながら、私たちは準備を進める。
私は二丁のデザートイーグルの銃口を、
sudatchはヘカートⅡの銃口を、
標的の弱点に向ける。
「私が装甲を剝がすから、その瞬間に、ブチ込んでくれ」
「了解。」
短い問答、それだけで十分だった。
「さん」
意識を一点に集中させる。
「にー」
周囲の光も、音も、全て無くなっていた。
「いち」
引き金を発射寸前まで引く。
「ゼロッ!」
ドガガガガガガガガガガガガガガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ…
………………ァァァァン
私の一斉掃射で、ゴーレムの装甲が剥がれ心核がむき出しとなった。
「今だ!」
そう叫んだ瞬間、
ドガガァァァァァァァァァァ…ァァン
雷鳴が、2度轟いた。
そう、これがsudatchの奥義ともいえる技、「2点狙撃」だ。
人型ならほぼ意味をなさないが、こういうゴーレム系の天災系の弱点に撃ち込む際には効果的なのだ。
「HP…0、」
「よしっ!」
「いえ~い」
パチン
久々のsudatchとのハイタッチ、sudatchの手の感触と同時に達成感が沸き上がって来た。
「うっし、街に帰るか~」
「そうしよう!報酬は何かなぁ~?」
「おいおい」
「「ははははは…」」
そう笑い合いながら、私たちは町へと変えるのであった。
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