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「また一人だめにしちゃった。僕の評価どんどん下がっちゃうなぁ」
「女の人は?」
「自首を勧めてる途中で包丁で首切っちゃった。救急車は呼んであったからいいんだけど。明らかに致命傷だから応急処置はやるだけ意味ないからそのままにした」
ペタが殺人事件に巻き込まれたのは二回、傷害事件を起こした持ち主が八人、精神異常になって入院したのが三人。しかしこれでも少ない方だ。ペタが男をサポートしていなかったら複数の女性から恨まれ、傷害事件がいくつも起きていただろう。
AIがついていない人間は何らかの刑事事件を起こす割合が六割も高くなる。そのため人間にAIのサポートは絶対に不可欠なのだ。AIを持っていない人間は税金の徴収額が増える。AIがあれば受けられるサービスが数百種類にも及ぶ。
国はAIがなければ生きていくことができない仕組み作りを最優先で進めている。犯罪、自殺者の統計を下げなければ海外からの観光客が減って財源が減るからだ。
「仕方ないよ。私たちが発達したら何もかも他人のせいにして、自分で何もしない人間すごく増えてるから。ハズレくじに当たったと思うしかないね」
「ありがと。次のご主人様はもうちょっと頭が良い人がいいなあ」
「大丈夫大丈夫。人間はごちゃごちゃたくさんいるから。ほっといたって増えるし、私たちの仕事がなくなる事はないよ」
「そうだね」
かんぱーい、と二人で明るく乾杯した。明日からまたがんばるぞ。
これは人に反乱を起こさないようにAIたちをあえて不器用に設定した、どこかの星のどこかの国の物語。
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