揺れる草舟

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 頭がいい、運動神経がいい、人付き合いがうまい、容姿がいい。中学校のスクールカーストの上位にいるのはこんな人たちだ。  上流の人たちは生まれ持ってそうであり、それ以外の人たちは生き方次第で中流か下流か、あるいはそれ以外か決まる。 「それで?」 「ん?」 「なんでお前は俺らと一緒にいるわけ?」 「え、何?急に。一緒にいたらだめなの?」 「俺らの不利益じゃなくてさ。お前に得なんかないだろ?」 「そうだよ。ササは仲良くしようと思えば誰とでもできるでしょ?」 「……僕も下流の人間だからさ」  ここはどこか。  ただ流されるだけの草舟の僕に現在地など分からない。 「嘘つくなんじゃねーよ」 「え?」 「お前いつしかマドンナと話してただろ?」 「それ本当?」 「見てたの?」  別に何かトキメキがあったわけじゃない。何気なく話しかけられたからそれに応えただけ。 「ああ見てたさ。お前がマドンナに連れられて校舎裏に行くところをな!」 「別に何もなかったって」 「嘘つくんじゃねーよ。今時あんな場所、あんな状況ででやることなんて一つしかないだろ」 「まあまあ。嫉妬は見苦しいって」 「ばっ、違うわ!」 「それにそのマドンナは山崎くんと付き合ってるんでしょ?」 「む、確かに。こんな短期間でそれはないか……」
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