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人間の心なんて簡単に移り変わっていくものだと知る。川の流れのように、よくあることだ。
「まあ俺らも一番下ではないからな」
今日も自分の席で一人、彼女は何をしているのだろう。
「またあ、惨めだから止めなって」
「下を見てないともっと自分が惨めに感じちゃうだろ」
これもよくあることだ。
でも僕は下流だとか上流だとか、本当はどうでもよくて、波風立たぬ所にいたいだけ。草舟のようにただ流されて生きていく。そんな人生でよかった。
ただ、一度だけ。
『ただ周りに流されるだけの生き方なんて、私は嫌なの』
あの瞬間、僕という草舟が漂う人生に石を投げ込まれたみたいに、確かに水面が揺れるのを感じた。
「そういえばササは体育祭の時……」
なんでその言葉が、その行動が僕を揺らしたのか。
「いい恥さらしだったよな」
「まあやれることはやったし、仕方ないよ」
なんで君という存在だったのか。
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