揺れる草舟

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 きっと僕も被害者だったんだ。 「少しは仲良くなれたのか?」 「確かこっそり居残り練習とかしてたよね。放課後に」 「なんで僕のことにそんなに詳しいの?」 「数少ない我らが仲間だ。自分だけハッピーになられたら困るからな。まあ、水野(みずの)が相手ならギリギリ許すが」 「……」  ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。  川の流れに身を任せる僕は草舟で、川の流れに逆らう彼女は川魚。  時代の変化にも、重力にも、運命にも、逆らわずにいる方が楽なのに。 「俺はいいと思うけどね。体育祭の時もいいコンビだったし」 「否定はしない」 「僕と彼女が?デコボコだったでしょ」 「デコボコの方が案外うまくいくものさ。変わり者同士は引かれ合うんだよ」 「俺応援するよ?」 「ってのは止めろよ。俺がまるで応援してないみたいじゃないか」 「そんな間柄じゃないって」  逆らわずにいる方が楽なのは誰だって知ってる。  それでも川魚は生きるために川の流れに逆らうのだ。 「……」    そして、それは、彼女も。
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