開かずの部屋

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「愛莉」 「なに?」 「あの部屋、見てもいい?」  僕が指さした先を見て、愛莉は……とても複雑な表情をした。  視線を泳がせた後、ギュッと目を閉じ、「はぁー!」と大きなため息をつき、そして。  僕にプロポーズをしてきた時みたいな、キリッとした顔をした。 「さすがにそろそろ言わなきゃだよね」 「え、あ、うん……?」  気後れする僕の前をすり抜け、彼女は部屋の前まできて、深呼吸した。  なんだろう。  アイドルグッズだろうか。  友達は「彼女がBL漫画用のサーバーを隠してたんだ。もう慣れたけど」と言っていた。聞いた時にはびっくりしたけど、その分心の準備はできている。 ――どんな秘密があっても、僕は愛莉を受け止める!  握った拳に力をこめていると、愛莉がぱっと振り向いた。 「先に言っておくけど、私が世界で一番愛しているのは圭君だからね!」 「え? あ、ありがとう……?」  その勢いに僕が気を取られた隙に、愛莉は部屋に入った。僕も続く。  電気がつく。  部屋にはデスクと椅子。そして。 「へ?」  奥には、人がいた。  イケメンがすやすやと、ベッドに寝ていた。
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