42人が本棚に入れています
本棚に追加
「愛莉」
「なに?」
「あの部屋、見てもいい?」
僕が指さした先を見て、愛莉は……とても複雑な表情をした。
視線を泳がせた後、ギュッと目を閉じ、「はぁー!」と大きなため息をつき、そして。
僕にプロポーズをしてきた時みたいな、キリッとした顔をした。
「さすがにそろそろ言わなきゃだよね」
「え、あ、うん……?」
気後れする僕の前をすり抜け、彼女は部屋の前まできて、深呼吸した。
なんだろう。
アイドルグッズだろうか。
友達は「彼女がBL漫画用のサーバーを隠してたんだ。もう慣れたけど」と言っていた。聞いた時にはびっくりしたけど、その分心の準備はできている。
――どんな秘密があっても、僕は愛莉を受け止める!
握った拳に力をこめていると、愛莉がぱっと振り向いた。
「先に言っておくけど、私が世界で一番愛しているのは圭君だからね!」
「え? あ、ありがとう……?」
その勢いに僕が気を取られた隙に、愛莉は部屋に入った。僕も続く。
電気がつく。
部屋にはデスクと椅子。そして。
「へ?」
奥には、人がいた。
イケメンがすやすやと、ベッドに寝ていた。
最初のコメントを投稿しよう!