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「でもいいね、アンドロイドがいると便利でしょ」
「便利ですけど……やっぱり人型の機械は抵抗あります。新婚生活が台無しですよ」
「だけど奥さんも恋愛目的で買ったわけじゃないんでしょ?」
「家族よりの家電、って言ってました」
なるほどね、と先輩は弁当をかきこむ。
「君はそうは思えないんだ?」
「ですね。耳以外の見た目は人間だし……そのくせ機械にはああいう事件もありますし」
僕はスマホを見せる。今まさに、宅配ロボの暴走事件が速報で出たところだった。
宅配ロボは小回りが利く物流の要だが、誤作動で時速50キロのまま住宅の壁に突っ込んだらしい。
「まあ、機械である以上、誤作動はゼロにはならんよね」
「でしょう?
僕、家事もできるし、むしろ愛莉のためにやりたいし、いらないって言ったんですけど……」
僕は大きなため息をつく。
「アンドロイドがいるってわかった日はひと悶着あって……話し合いの末、今月試しに同居することなっちゃいました。
でも1カ月経ったら僕が廃棄処分します!」
「案外、その頃には受け入れてるかもよ? こういうニュースもあることだし」
にやにやしながら先輩は自分のスマホを見せる。
そこには、「アンドロイドと家族の絆」と特集記事が組まれていた。アンドロイドと結婚した女性、子供がわりに可愛がる夫婦などの動画が流れていく。
僕は鼻白んだ。
「……あり得ません」
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