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潜入
「準備はいい?」
「ああ」
俺はMFI本部の機械室にいた。変装して内部への潜入は成功。排気口はサーバールームに通じているから、Rにもらったワイヤー付きベルトを装着して進むのみ。
だが。
「予想以上にみっちりなんだが……あとダクトがみしみし言ってる気がする」
俺は冷や汗をかいていた。
「えー大丈夫?」
インカムからアニーの声。
「ダクトが壊れないうちに引き上げなきゃ……あ、そこ左ね」
「うう」
体をくねらせ、どうにか金庫室の排気口にたどり着いた。
「防犯カメラ、OKか?」
「いいよ、ダミー映像に切り替えた」
「よし……いくぞ」
排気口のカバーを取り外し、俺はワイヤーを調整してそうっと床に下りた。
最低限の明かりの中、壁一面のサーバーがチカチカ光っている。そのうち一つにUSBメモリを差し込む。
「OK……データ転送開始」
アニーの声が緊張している。
俺はカメラに目をやった。映っていないと言われてもドキドキする。
「転送完了……抜いていいよ」
ふう、と息をつき、USBメモリを抜く。
その時。
ドアの向こうからドタバタと足音がした。
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