潜入

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「ダクトから変な音がしてるな」 「こっちは大丈夫か?」  ドアが開き、いっせいに電気が点く。  一瞬目がくらみ、そして。  警備員と目が合った。 「侵入者だー!」 「うおおおお!?」  俺は慌ててワイヤーの巻き取りボタンを押した。直後、もの凄い勢いで体が引っ張られていく。 「うわぁああ!」  ダクト内で体をぶつけ、勢いそのままに俺は排気口からしゅぽん、と機械室に出た。そのまま機械に体がぶつかり、はねる。しかし止まっている暇はない。 「おじさん、追っ手が来るよ!!」  俺は必死に走った。建物の外に出てもまだ追ってくる。お腹がぽよぽよと揺れる。頭も痛い。  ああ、なんで俺はこんな目にあってるんだろう。楽して痩せたいだけなのに。  そもそも俺は食っちゃ寝の生活に満足していた。なぜ痩せたいかって、そりゃあ……。  ある人の顔を思い浮かべた時、アニーの声が聞こえた。 「そっち右! 乗ってきた水上バイクあるから!」  あちこちからライトの光があたる。俺は心臓がおかしくなるんじゃないかと思うくらい走った。スーツのまま水上バイクに乗り、エンジンをかける。水飛沫(みずしぶき)があがる。
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