40人が本棚に入れています
本棚に追加
「ダクトから変な音がしてるな」
「こっちは大丈夫か?」
ドアが開き、いっせいに電気が点く。
一瞬目がくらみ、そして。
警備員と目が合った。
「侵入者だー!」
「うおおおお!?」
俺は慌ててワイヤーの巻き取りボタンを押した。直後、もの凄い勢いで体が引っ張られていく。
「うわぁああ!」
ダクト内で体をぶつけ、勢いそのままに俺は排気口からしゅぽん、と機械室に出た。そのまま機械に体がぶつかり、はねる。しかし止まっている暇はない。
「おじさん、追っ手が来るよ!!」
俺は必死に走った。建物の外に出てもまだ追ってくる。お腹がぽよぽよと揺れる。頭も痛い。
ああ、なんで俺はこんな目にあってるんだろう。楽して痩せたいだけなのに。
そもそも俺は食っちゃ寝の生活に満足していた。なぜ痩せたいかって、そりゃあ……。
ある人の顔を思い浮かべた時、アニーの声が聞こえた。
「そっち右! 乗ってきた水上バイクあるから!」
あちこちからライトの光があたる。俺は心臓がおかしくなるんじゃないかと思うくらい走った。スーツのまま水上バイクに乗り、エンジンをかける。水飛沫があがる。
最初のコメントを投稿しよう!