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ぬいぐるみを渡すと、アニーは狂喜乱舞した。キディを持ち上げ、くるくる回り早口で歓迎の意を表し、あらゆる角度から写真を撮りまくった。飛び交うハートが見えるようだ。
そして俺の視線に気づいてコホン、と咳払いをした。
「社員証、できたよ」
「おお、ありがたい!」
一抹の不安はあったが、アニーの腕は確かだった。
「ちょうどおじさんと同じ体格の社員がいるから、なりすましたらいいよ」
俺はナタリーに連絡した。社員の情報を渡すと「部下に頼んで、下剤を仕込むわ。金曜日は欠勤にしてあげる」とのこと。気の毒だが致し方ない。
Rからは本部の見取り図が届いた。必要な道具も手配してくれるという。どこから侵入しようか考えていると、アニーがこっちを見ていた。
「そんなに薬が欲しいの?」
「当たり前だ」
「おじさん、前よりちょっと痩せたじゃん。そのまま運動と食事に気をつけたらよさそうけど」
「薬の方が楽じゃないか」
「そりゃそうだけどさ」
侵入経路を模索するうち、俺は床で寝落ちしていた。
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