冬に死んだ女

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「鴨志田君こそ、なんでここに」 「いや、財布を拾って、住所がここだったもんだから、届けようと思って」 「そうだったの」 「それで古明地さんはなんでここに」 「私、このアパートに住んでいるのよ」 「そうなの」 鴨志田がそう言うと、古明地はほほを赤らめた。 「やだ、鴨志田君に住んでいるところを知られちゃったわ。どうしましょう」 もじもじしている古明地を見て、鴨志田は「可愛い」と思った。 そしてそう思った自分に気づいた。 鴨志田の全身に熱いものが流れた。
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