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 中屋さんはつまんなさそうなわりに、よく喋る子だった。  空気を読んで場を盛り上げる深月さんとは真逆で、思ったことをそのまま口にする中屋さんは、そんな深月さんに対しても「深月ちゃんは八方美人だ」などと、時々毒を吐いた。  顔はそこそこ可愛いのに、性格はまるで可愛げがない。それでも淡々とした物言いは潔くて、裏表のない態度には好感が持てた。そして、会話中あまり笑わないので、笑顔が見られた時は何だか嬉しくなって、また笑わないかな?と、面白いことを言っては玉砕した。    俺たち四人の職場はバラバラだが、土日休みというところは同じで、休みの日にはよく集まってカラオケやボーリングをしに行ったり、ゲームセンターに行ったりするようになっていた。  それはなんだか、学生時代のダブルデートのようで、久しく女っ気がなかった俺は少々浮かれていた。そして、先輩の彼女だとわかっているのに、会う度に俺は深月さんに惹かれ始めていた。  「深月ちゃんと、高梨さん、同棲始めたらしいよ」  それは俺たちが知り合って、ひとつ季節が巡った夏のある日のこと。四人で行ったカラオケの後、先輩と深月さんと別れて中屋さんを駅まで送っている途中で、中屋さんは俺の顔色を伺うようにじっと見つめてそう言った。
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