プロローグ

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 ようやく順番が廻ってきた。  手荷物をカウンターの上に乗せ、日本語で話しかけてくれるスタッフに聞かれたことを答える。  そして、バッグの中身を開いて見せる。  ふと、視線をカウンターのスタッフの後ろに向ける。 『黄色?あの人!』空港スタッフ以外で、搭乗客の中に一人だけ周りの赤の中に黄色の色が見えた。 『どういうこと?』  不思議な気分だった。  カウンタースタッフの少し大きめな声で視線を戻す。  バッグを手に受けとる。 「ありがとうございました」  そう言ってその場を離れる。一瞬、後ろの人に頭を下げた。  なぜ自分がそうしたのかわからなかった。  視線を前に歩き出す。  友人達は搭乗ゲートの前で待っている。  彼女達は相変わらず赤色が背後に見える。  ふと、何かに気がついて後ろを振り向いた。 『青色?』  それは、見た目は20代半ばから後半くらいのやせ形の青年だった。
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