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双子は畜生腹だ、女は捨てて来い。
「双子は畜生腹だ。男と女の双子は心中者の生まれ変わりと言って、尚更縁起が悪い。跡取りの男だけ残して女は捨ててこい」
一八九八年(明治三十一年)十一月五日。
私と兄さんが生まれた時、お祖父さんはそう言ったそうです。石に金具をつけた様な堅物で、昔気質の人でした。
子煩悩な父さんでしたので、言われたからと言って、可愛い我が子を捨てるなんて出来るはずも有りません。
お祖母さんが知恵をつけてくれて、父さんは私を抱いて、神社に弟の継男叔父さんと出かけていき、私を置いて隠れます。
すぐ叔父さんが「おおこんな所に捨て子が」と拾い上げ、その足で役所に養女の届を出し、その日のうちに、私は我が家に戻ってきました。
「継男が捨て子拾ったんじゃが、もう娘がおるし、女は二人もいらんて言うが。家には女の子はおらんしな」
猿芝居もいいところです。
なので私は、戸籍上は養女となっています。
でも、そんな大人のゲン担ぎのごまかしなど関係なく、私たち兄妹は母のお腹から出た後も、離れる事なく一緒に育っていきました。
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